Talk Session 01
当院では、新人看護師の教育にあたり、専属のチューターとして2年目の先輩看護師がメンタル面のサポートや日常のアドバイスを、実地指導者として経験豊富な先輩看護師が知識・技術の指導にあたり、新人看護師を二段構えでサポートしています。
先輩と後輩が共に育つ「共育」の考えをベースに、新人看護師を全面的にバックアップする教育体制について、外科系の混合病棟に所属する新人・チューター・実地指導者それぞれの立場から語り合ってもらいました。
Talk Member
新人看護師
貝出 愛子さん
2024年入職。大阪府出身。地元の人々の健康を支援したいという想いから、当院のなかでも患者さんの年齢層が幅広い現在の病棟への配属を希望。
チューター看護師
岩谷 涼香さん
2023年入職。大阪府出身。手術によって生活が変化する患者さんたちを、地域に密着しながら退院まで支えていきたいと当院を志望。
実地指導者看護師(副主任)
青木 雪さん
2009年入職。三重県出身。大阪の病院で経験を重ね、退院後も地域と連携を取りつつ支援ができるアットホームな雰囲気に惹かれて当院へ。
Topics 01
貝出さん
(新人看護師)
入職してからひとり立ちするまで、ペアの先輩が日替わりでサポートしてくださいましたが、初めての先輩でも距離を感じることなくサポートしていただけたのが印象に残っています。誰にでも気軽に相談できる環境がありがたかったです。
青木さん
(実地指導者)
先輩看護師全員がサポートナースとして新人を見守り、情報を共有してるので、安心感を持って日々経験を積める環境が整っています。
岩谷さん
(チューター)
20名を超える病棟の先輩看護師全員が、新人看護師に関わっていますもんね。月1回のサポートナース会で、新人の皆さんがどんなことが苦手で、どんなふうに業務にあたっているかを共有しているので、誰がペアになってもフォローできる体制になっています。
貝出さん
(新人看護師)
毎月の1年目ナースの会では、実地指導者の皆さんに困ったことや大変だったことを率直に相談させてもらえているので、日々ストレスなく働けています。チューターの岩谷さんには勉強法を教えてもらったり、不安に思っていることを先回りしてフォローしてもらえたりしていました。
岩谷さん
(チューター)
自分自身の経験から、どういう勉強が良かったかを伝えるようにしているだけなんですけどね。ささいな日常の不安は、2年目のチューターの方が話しやすいでしょうね。
貝出さん
(新人看護師)
今はもうペアの先輩から自立し、部屋回りも一人でするようになりましたが、自立できるかどうかの振り返りを岩谷さんにしてもらえたのは、本当に心強かったです。
岩谷さん
(チューター)
私自身も、新人時代に自立するのがすごく不安だった経験があるので、貝出さんの不安を少しでも和らげてあげられるような対応を心がけていました。新人看護師をサポートするにあたり、話しやすい存在であることは大切かなと。
青木さん
(実地指導者)
小さな不安は、チューターのほうが話しやすいでしょうね。ただ、チューター側もどう接していいかわからないケースはあると思うので、実地指導者の立場から「こんなふうに困っているかもしれないから声をかけてあげて」とフォローするようにしています。個人の成長に合わせてサポートすることが大事ですから。
貝出さん
(新人看護師)
くじけそうになった時に、さまざまな視点から先輩方が関わってくださることがとても支えになっています。病棟全員で新人スタッフを見守ってくれている安心感があるからこそ、のびのびと仕事ができています。
Topics 02
貝出さん
(新人看護師)
病院全体での研修はもちろん、1年目を対象に病棟でのOJT研修があるのはすごいことだと思います。実地指導者さんたちから、ストーマについてなど消化器外科病棟ならではの知識を教わりました。所属している病棟に特化したことも、経験しながら覚えるのではなく、事前に直属の先輩から少人数制で教えてもらえるので、質問もしやすくわかりやすかったです。
青木さん
(実地指導者)
実地指導者が病棟特有の業務を毎月、1年目の皆さんに直接教えるというのは、当院ならではの特徴です。術前オリエンテーションも、事前に勉強していなかったら難しいところですが、OJTで学べます。
岩谷さん
(チューター)
化学療法についてもそうですよね。私が新人時代の話ですが、先輩方が経験を踏まえながら教えてくださったことが、今の業務に大いに活かせています。1年目の時点から、自分の学びたいことや習得したい技術について理解を深めるチャンスがあり、早い段階から専門的な部分まで学ぶことができるのは、当院の教育体制の大きな特徴ですね。できることが増えると達成感や嬉しさも増すので、やる気にもつながってきます。
貝出さん
(新人看護師)
当院の新人指導のスタイルの特徴として、学びと実践が並行しているので、看護師としての成長が早いという点があると思います。手技の根拠や安全な方法を座学で学び、その後、実際のシーンを想定して準備や患者さんへの挨拶から指導していただけるので、すごく吸収しやすいんです。また、指導していただく際には、自分自身で考える力を育てようとして下さっているということも感じます。
青木さん
(実地指導者)
その姿勢が伝わっているのはうれしいです。教える際、自分の意見を押し付けるのではなく、まずは考えを訊くようにしていますからね。答えを言ってしまうのは簡単ですが、新人看護師にも看護に対する想いがそれぞれあり、そこに間違いはありません。それを傾聴し、押し付けるのではなく寄り添いながら、モチベーションが上がるような声かけができるよう意識しています。自分の考えや報告など、何でも気兼ねなく話してほしいので、話しやすい環境づくりは日頃から心がけています。
貝出さん
(新人看護師)
業務には、それぞれ目的や根拠がある。それを看護で実践していけるように、まずは自分で考え、そのうえで足りていない部分やわかったつもりになっている部分を先輩にフォローしていただいています。
岩谷さん
(チューター)
自分もそう教わってきたからこそ、ケアの目的や理由について自ら考え、理解してもらうように心がけています。日頃の業務でも、根拠をもとに行動することが大切だと感じているので、それを踏まえたアドバイスをしています。一人ひとりの看護観を育てることを大事にしている病院だと思いますよ。
Topics 03
貝出さん
(新人看護師)
ペアの先輩が指導してくださっていたときは、前日にできなかったことや困ったことを振り返り、1日の目標を考え、達成するための方法を相談して、業務が終わってから振り返りをしていたので、日々の成長を実感できていました。自立した今も、何かあれば先輩方にすぐ相談できているので、着実にステップアップできていると感じます。
岩谷さん
(チューター)
うまくできなかったことがあるとき、何故そうなったかを振り返ることで着実に成長していくことができますよね。ケアの理由や方法を説明する際に生まれた疑問について改めて勉強することで知識が深まり、ケアの質向上につながっていると実感します。1年前に自分が受けた指導を伝えていけるよう、当時のメモを見直すなど、復習にもつながっています。
青木さん
(実地指導者)
教えることで、自分自身の経験値も上げられています。新人看護師の皆さんから、うれしかったエピソードや、それぞれの看護観について聞くと、初心に返ることができるんですよね。昔の経験を思い出しながら話すことで考えも深められますし、新人看護師の皆さんの「患者さんのニーズに応えたい」という気持ちに私たちが触発される部分もあります。自身の看護を振り返り、新しい考え方が取り入れられるようにもなりました。
貝出さん
(新人看護師)
入職当初は患者さんの状態を観察することで精いっぱいでしたが、今では血圧を測ったり点滴をつないだりしながら患者さんと会話もできるようになり、精神面の援助にも目を向けられるようになりました。病態だけでなく、ご自宅に戻られてからの生活も傾聴し、アプローチできるようになったと感じています。患者さんが退院したあとも困られないよう、これからもっと広い視野で援助を考えられるようになりたいです。
岩谷さん
(チューター)
私もそうです。たとえば、最初は「自分のストーマが怖くて見られない…」とおっしゃっていた患者さんが、ケアの関わりを通してご自身で装具の交換ができるようになるなど、前向きなこころもちで退院していかれることに大きなやりがいを感じます。今後は私自身、リーダーの業務も始まるので、メンバーの状況を把握しながら協力し、患者さんを支えていきたいです。
青木さん
(実地指導者)
一人ひとりに受け持ちの患者さんがいますが、「誰の担当か」に縛られずに全員で寄り添いながら見守っていくのは、教育に関しても同じです。これから自立したりリーダーになったりする1年目や2年目の看護師たちにとって、不安があれば素直に相談してもらえる存在でありたい。チームとして教育に取り組み、みんなで一緒に成長していきたいと思います。