1.研修目標とプログラムの特徴・概要
【1】 基本理念と基本的臨床研修目標
基本理念
済生会創生の「救療済生」の精神に基づき、地域の医療・福祉に対し、ゆるぎない真の貢献を果たすことのできる医師を育成する
臨床研修基本方針
- 医の倫理を理解し、医師としての人格・コミュニケーション能力を養い、患者の視点に立った安全で質の高いチーム医療を実践する
- 救療済生の精神に則り、医師としての社会的役割を理解し、医療チームの一員として保健・医療・福祉に貢献する
- 将来の専門性に関わらず、臨床医として必要なプライマリ・ケアの基本的診療技能を身に着ける
- 医療の質の向上に努め、生涯に渡って学び続ける姿勢を養う
臨床研修の到達目標
A. 医師としての基本的価値観
- 社会的使命と公衆衛生への寄与
社会的使命を自覚し、説明責任を果たしつつ、限りある資源や社会の変遷に配慮した公正な医療の提供及び公衆衛生の向上に努める。 - 利他的な態度
患者の苦痛や不安の軽減と福利の向上を最優先し、患者の価値観や自己決定権を尊重する。 - 人間性の尊重
患者や家族の多様な価値観、感情、知識に配慮し、尊敬の念と思いやりの心を持って接する。 - 自らを高める姿勢
自らの言動及び医療の内容を省察し、常に資質・能力の向上に努める。
B. 資質・能力
- 医学・医療における倫理性
診療、研修、教育に関する倫理的な問題を認識し、適切に行動する。- 人間の尊厳を守り、生命の不可侵性を尊重する。
- 患者のプライバシーに配慮し、守秘義務を果たす。
- 倫理的ジレンマを認識し、相互尊重に基づき対応する。
- 利益相反を認識し、管理方針に準拠して対応する。
- 診療、研究、教育の透明性を確保し、不法行為の防止に努める。
- 医学的知識と問題対応能力
最新の医学及び医療に関する知識を獲得し、自らが直面する診療上の問題に対して、科学的根拠に経験を加味して解決を図る。- 頻度の高い症候について適切な臨床推論のプロセスを経て鑑別診断と初期対応を行なう。
- 患者情報を収集し、最新の医学的知見に基づいて、患者の意向や生活の質に配慮した臨床判断を行なう。
- 診療技能と患者ケア
診療技能を磨き、患者の苦痛や不安、考え・意向に配慮した診療を行なう。- 患者の健康状態に関する情報を心理・社会的側面を含めて、効果的かつ安全に収集する。
- 患者の状態に合わせた、最適な治療を安全に実施する。
- 資料内容とその根拠に関する医療記録や文書を、適切かつ遅滞なく作成する。
- コミュニケーション能力
患者の心理・社会的背景を踏まえて、患者や家族と良好な関係性を築く。- 適切な言葉遣い、礼儀正しい態度、身だしなみで患者や家族に接する。
- 患者や家族にとって必要な情報を整理し、分かりやすい言葉で説明して、患者の主体的な意思決定を支援する。
- 患者や家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握する。
- チーム医療の実践
医療従事者をはじめ、患者や家族に関わる全ての人々の役割を理解し、連携を図る。- 医療を提供する組織やチームの目的、チームの各構成員の役割を理解する。
- チームの構成員と情報を共有し、連携を図る。
- 医療の質と安全管理
患者にとって良質且つ安全な医療を提供し、医療従事者の安全性にも配慮する。- 医療の質と患者安全の重要性を理解し、それらの評価・改善に努める。
- 日常業務の一環として、報告・連絡・相談を実践する。
- 医療事故等の予防と事後の対応を行なう。
- 医療従事者の健康管理(予防接種、針刺し事故含)を理解し、自らの健康管理に努める。
- 社会における医療の実践
医療の持つ社会的側面の重要性を踏まえ、各種医療制度・システムを理解し、地域社会と国際社会に貢献する。- 保健医療に関する法規・制度の目的と仕組みを理解する。
- 医療費の患者負担に配慮しつつ、健康保険、公費負担医療を適切に活用する。
- 地域の健康問題やニーズを把握し、必要な対策を提案する。
- 予防医療・保健・健康増進に努める。
- 地域包括ケアシステムを理解し、その推進に貢献する。
- 災害や感染症パンデミックなどの非日常的な医療需要に備える。
- 科学的探究
医学及び医療における科学的アプローチを理解し、学術活動を通じて、医学及び医療の発展に寄与する。- 医療上の疑問点を研究課題に変換する。
- 科学的研究方法を理解し、活用する。
- 臨床研究や知見の意義を理解し、協力する。
- 生涯にわたって共に学ぶ姿勢
医療の質の向上の為に省察し、他の医師・医療者と共に研鑽しながら、後進の育成にも携わり、生涯にわたって自律的に学び続ける。- 急速に変化・発展する医学知識・技術の吸収に努める。
- 同僚、後輩、医師以外の医療職と互いに教え、学びあう。
- 国内外の政策や医学及び医療の最新動向を把握する。
C. 基本的診療業務
- 一般外来研修
頻度の高い症候・病態について、適切な臨床推論プロセスを経て診断・治療を行ない、主な慢性疾患については継続診療ができる。 - 病棟診療
急性期の患者を含む入院患者について、入院診療計画を作成し、患者の一般的・漸進的な診療とケアを行ない、地域医療に配慮した退院調整ができる。 - 初期救急対応
緊急性の高い病態を有する患者の状態や緊急度を速やかに把握・診断し、必要時には応急処置や院内外の専門部門と連携ができる。 - 地域医療
地域医療の特性および地域包括ケアの概念と枠組みを理解し、医療・介護・保健・福祉に関わる種々の施設や組織と連携できる。
【2】プログラムの特徴
- 当院ではプライマリーケアに必要な医師としての基本的総合診療能力を習得することを目標とする為、内科、救急、地域医療の他に外科、小児科、産婦人科、精神科を必修科目とします。
- また、その他の診療科を含め自由に科目選択できる期間を8ヶ月設け、研修医のニーズにも対応しています。
- 救急診療については、年間を通して当直に入ることにより、より多くの症例を経験することができます。
- 研修期間中、専門的な診療も経験し将来の専門研修へも繋がります。また科学的、研究的な態度も指導され、学会・研究会での発表の機会も与えられます。
- 医療安全への取組みも充実しており、医療安全委員会、感染対策委員会などの他に医療安全推進室も設置しており、より積極的に医療安全に取組む体制を整えていますので医療安全に考え方を学ぶことが出来できます。
【3】プログラムの概要
ローテート方式
- 1年次:内科8ヶ月・麻酔科1ヶ月・外科2ヶ月・産婦人科1ヶ月をローテート※救急は並行研修
- 2年次:小児科1ヶ月・精神科2ヶ月・地域医療1ヶ月・選択科8ヶ月をローテート
1年目 | 2年目 | ||
内科 8ヶ月 (約34週) (救急研修並行) | ・当院内 消化器内科 循環器内科 腎臓内科 糖尿病・内分泌内科 一般内科(一般外来) 等 | 小児科 1ヶ月 (約4週) | ・当院内 小児科 |
精神科 2ヶ月 (約8週) | ・さわ病院 精神科 | ||
地域医療 1ヶ月 (約4週) | ・茂松整形外科 整形外科・一般外来 | ||
麻酔科 1ヶ月 (約4週) | ・当院内 麻酔科 | 選択科 8ヶ月 (約34週) | ・当院内 (消化器内科、循環器科、腎臓内科、糖尿病・内分泌内科、外科、小児科、耳鼻咽喉科、整形外科、脳神経外科、麻酔科など) |
外科 2ヶ月 (約4週) | ・当院内 小児科 | ||
産婦人科 1ヶ月 (約4週) | ・京都大学医学部付属病院・産婦人科 もしくは 大阪医科薬科大学病院・産婦人科 |
- 茨木病院・連携施設にて適宜、往診等在宅医療を経験。
協力病院・施設
◆ 茂松整形外科 (地域医療・整形外科)
◆ 医療法人北斗会 さわ病院 (精神科)
◆ 京都大学医学部付属病院(産婦人科)
◆大阪医科薬科大学病(産婦人科)
◆神戸大学医学部付属病院(選択)
◆済生会有田病院(地域医療重点プログラム)
【4】当院の求める研修医像
熱意があり、真摯で勤勉な方。そして、職員の和を持って患者へ親切に接することができる方をお待ちしています。